かつて、鳥取県の山陰本線の倉吉駅から、打吹、関金を経て、山守駅まで全長20キロの倉吉線というローカル線があった。1985年4月1日に全線廃止になってしまったが、私は1974年4月に、一度だけ訪問したことがある。当時は関金までは、C11形蒸気機関車が牽く混合列車が健在で、関金から終点山守まではディーゼルカーだけが走っていた。
終点の山守は、短いホームとプレハブのような待合室があるだけの無人駅で、ホームにかからない車両からは、お客さんが直接線路に降りていた。
廃線から35年、今も線路跡の一部はレールが当時のまま残っている。
唯一ホームが残る泰久寺駅から、山守駅に向かって歩いて行くと、見事な竹林が現れる。六角精児が「日本で最も美しい廃線跡」と言ったそうだが、それも納得の幻想的な光景だ。
途中にある山守トンネルは、ふだんは通れないが、地元の団体が主催するトレッキングツアーに参加すれば通れるようである。
私が訪問した2021年12月25日は、生憎の雨で(その日の夜から鳥取地方は大雪になった)、ほんの一部を垣間見ただけだが、またいつか再訪してみたい場所である。